バーチャルナーシングについての FAQ

2025.03.12

バーチャルナーシングについてのFAQ

バーチャルナーシングとは何ですか?

　バーチャルナーシングは、ハイブリッドケアモデルであり、デジタルヘルステクノロジーを使⽤して遠隔地から対象となる看護業務を実施することで、ベッドサイドチームをより良くサポートし、患者ケアを向上させます。双⽅向遠隔ヘルスケアを利⽤して患者のベッドサイドにアクセスし、⼊院患者のケアを通して患者の評価、教育、モニタリングを⽀援します。バーチャル看護師は実地ケアを必要としないタスクを引き受けるため、フロア看護師はより複雑な患者対応に専念することができます。

バーチャルナーシングの利点は?

　バーチャルナーシングは、患者ケア業務を遠隔地の看護師に再分配することで、看護師の燃え尽き症候群を軽減し、患者満⾜度を向上させ、臨床チームの効率を⾼めることができます。これにより、貴重な時間をベッドサイドの看護師に取り戻し、看護師の定着をサポートします。また、標準化されたバーチャルナーシングのワークフローは中断されないため、タスク完了までの時間が短縮され、患者の回転率が向上します。患者もスタッフも、ベッドサイドでの⼆次的な臨床サポートの恩恵を受けることができます。

バーチャルナーシングを実施する際の⼀般的な障害とは?

　バーチャルナーシングの実装における⼀般的な課題は次のとおりです。

<インフラの準備>
すべての病室でスマートテクノロジーをサポートするために必要な物理的インフラを確保することは、ハードルになる可能性があります。特に古い施設では、データおよびネットワ－ク接続を強化する必要がある場合があり、病室が使⽤されている場合は困難な場合があります。

<ネットワークとセキュリティプロトコル>
強制ログアウト、デバイスのタイムアウト、ファイアウォールのポート制限、IP アドレスの再割り当て、Wi-Fi のオーバーサブスクリプション、帯域幅の制限など、従来のネットワークとセキュリティの管理アプローチは、デバイスが24 時間365 ⽇利⽤可能でなければならないケア環境において、臨床に⽀障をきたすことなくセキュリティを確保するために再評価が必要です。

<看護師の同意>
ベッドサイドの看護師の同意を得ることは⾮常に重要です。スムーズな運⽤には、臨床チームと技術チーム、バーチャルチームとベッドサイド看護チーム間のコミュニケーションを効率化することが不可⽋です。臨床チームが新しい技術を試す時間を確保することも、克服すべき課題です。特に、⼈員配置の問題がケアチームにプレッシャーを与え続けている現状ではなおさらです。

医療機関はどのようにバーチャルナーシングを導⼊できますか?

　バーチャルナーシングは、組織、ニーズ、リソース、インフラストラクチャーによってかなり異なります。ここでは、最終的に医療機関にとってのバーチャルナーシングを決定する重要なポイントをいくつか紹介します。

<⽬標を明確にする>
看護師の燃え尽き症候群や超過勤務の削減、患者の転帰の改善など、改善したいパフォーマンス領域を特定し、プログラムのユースケースに役⽴てます。

<初期のワークフローを特定する>
バーチャルナーシングが強化できる臨床ワークフローを選択し、⽬標とするパフォーマンス改善分野に最も影響を与えるタスクに焦点を当てます。

<技術的ニーズとインフラの準備状況を評価する>
IT 部⾨と連携して技術的なニーズを把握し、ネットワークが常時接続のバーチャルケアに対応できるようにします。

<スタッフィングモデルを決める>
バーチャル看護師スタッフをインソーシングするのか、アウトソーシングするのか、インソーシングした⼈材はどこで働くのか、バーチャル看護師と患者の⽐率はどうするのかを決めます。

<テクノロジーを導⼊する>
移動式遠隔医療カート、固定式遠隔医療デバイス、またはタブレットベースのどれがあなたのプログラムを最もよくサポートするかを検討し、デバイスを選定します。

<パフォーマンスを定量化するプロセスを確⽴する>
バーチャルナーシングの成果を⽐較するための基準値として、実施前に看護パフォーマンス指標をベンチマークします。

<初期のワークフローを試⾏する>
ベッドサイドおよびバーチャル看護師チームと協⼒して、プログラムのパフォーマンスに関するフィードバックを定期的に収集し、プロセスを最適化します。

<追加のワークフローと病棟への拡張>
パイロットから学んだことを基に、バーチャルナーシングの成果を他の病棟やワークフローに拡⼤する計画を⽴てます。

医療機関はどこにバーチャルナーシングを導⼊できますか?

　バーチャルナーシングは幅広い応⽤が可能です。 ⼀般的な医療・外科病棟での使⽤だけでなく、バーチャル看護師は、バーチャルシッティング、救急外来時のトリアージ、敗⾎症の早期発⾒などの患者の安全⾯におけるイニシアチブを強化し、⼼臓病学、神経学、腫瘍学などの専⾨医療をサポートすることができます。バーチャル看護師はまた、外来患者や在宅ケアプログラムのワークフローをサポートするために使⽤することもできます。

医療機関が追求する最も⼀般的なバーチャルナーシングのワークフロー
とは?

　⼊院、退院、患者教育は、医療システムが開始するために採⽤する最も⼀般的なワークフローの⼀つです。このほか、バーチャルナーシングには、新⼈スタッフの遠隔指導やプリセプティング、多職種による回診や悪化モニタリングなどがあります。

バーチャルナーシングの複雑なワークフローや使⽤例にはどのようなものがありますか?

　バーチャルな患者観察、バーチャルシッティング、遠隔迅速対応、⾎液や投薬の確認、専⾨的な診察の調整、臨床判断⽀援（Clinical Decision Support）を⽤いたより⾼度な遠隔モニタリングなどは、バーチャルナーシングのより複雑な使⽤例の⼀部です。

バーチャルナーシングでは、どのような⼈員配置モデルや⽐率が⼀般的ですか?

　バーチャルナーシングの⼈員配置モデルは組織によって異なり、以下のようなものがあります。

<バーチャルナーシング専⽤部署>
医療システムは、バーチャルナーシングやその他のハイブリッドケアプログラムのための専⾨チームを作り、医療組織内の指定された場所で働きます。

<ローテーションモデル> 多くの医療システムでは、バーチャルナーシングのシフトを従来のベッドサイドチームからローテーションさせることで、看護師がすでに慣れ親しんでおり、ケアチームがプロセスの最適化に集中できるようにしています。

<臨床サポートのアウトソーシング>
看護師の数が限られている地⽅や医療サービスが⾏き届いていない地域の医療システムにとって、臨床サービスのアウトソーシングは、派遣看護師に代わる実⾏可能な選択肢となります。
バーチャル看護師と患者の⽐率は、プログラムの範囲によって異なりますが、Caregilityの顧客の大半は、初期のパイロットでバーチャル看護師1 ⼈当たり10 ⼈から30 ⼈の患者を担当しています。最も⼀般的なのは、ケアチームがシフトごとの⼊退院予定数の平均を参考に初期⽐率を設定し、最も忙しい時間帯にはより⾼いレベルのリモートスタッフを利⽤できるようにすることです。

バーチャル看護師に求められる好ましい特性とは?

　ベッドサイドでの豊富な経験を持つ常勤看護師は、バーチャルナーシングの理想的な候補者です。バーチャル看護師は、積極的でありながら⼈柄がよく、マルチタスクが得意で、テクノロジーに慣れている必要があります。また、問題解決能⼒に優れ、感情的知性が⾼く、⾮⾔語的な合図を拾い上げるのが得意でなければなりません。

疲れ果て変化を求めている、または退職を検討しているベッドサイド看護師もバーチャル看護師の役割に適した候補者です。これにより、組織にとって貴重な組織知識が維持され、熟練した看護師のキャリア延⻑がサポートされます。

ベッドサイドの看護師の賛同と参加を得るには?

　バーチャルナーシングの導⼊を成功させるには、最初からベッドサイド看護師に参加してもらうことが不可⽋です。バーチャルナーシングのワークフローの計画と設計にベッドサイドの看護師を参加させ、彼らのニーズとペインポイントにソリューションを合わせます。ワークフローの改善をサポートするオープンなコミュニケーションラインを維持するために、スタッフアンケートや毎⽇の打合せを通じて継続的なフィードバックを収集する必要があります。

ベッドサイド看護師とバーチャル看護師間の協⼒関係を築くには?

　ベッドサイド看護師とバーチャル看護師の間に強い信頼関係を築くことは、協⼒的な環境を作る上で⾮常に重要です。これは、両⽅の看護師がそれぞれの役割を理解し、互いをどのように補い合うかを理解できるようにデザインされた合同トレーニングセッションを通じて達成することができます。ベッドサイド看護師とバーチャル看護師の役割を時々交代させることで、相互の尊敬と理解が深まり、チームワークが促進されます。

バーチャルナーシングのROI を決定するためのベストプラクティスとは?

　バーチャルナーシングの投資収益率（ROI）を測定するには、以下のアプローチを検討してみてください。

　<時間評価>
さまざまなワークフローについて詳細な時間評価を実施し、導⼊前後のパフォーマンス平均を⽐較することで、タスクの仮想化による時間節約を定量化します。ワークフローの効率化により、スタッフの時間外労働を減らし、病床の回転を促進することができます。

<患者およびスタッフ調査>
患者やスタッフの体験調査を利⽤して、満⾜度を測定し、改善すべき領域を特定します。多くの医療システムは、バーチャル看護師による中断のない看護業務により、またHCAHPS スコアに反映される患者体験の向上により、ハードおよびソフトのROI を⾒ています。 医療システムはまた、スタッフの燃え尽き症候群の減少や看護師の定着率の向上によるROI も⾒ています。

<臨床品質指標>
導⼊前のパフォーマンス指標（患者の転倒、⼊院期間など）をベンチマークし、導⼊後の臨床パフォーマンスと⽐較します。早期介⼊によるコスト回避は、バーチャル看護のROI の最も強⼒なポイントの1 つです。

バーチャルナーシングを導⼊する際、医療機関はどのような技術的事項に注意すべきですか?

　セキュリティ、⾼い信頼性、組織のEHR 内からワークフローを実⾏する機能は、効果的なバーチャルナーシングプログラムに不可⽋な要素です。また、バーチャルナーシングチームのワークステーション要件も考慮する必要があります。
ベッドサイドでの遠隔医療を可能にするために、組織が取るべき戦略はいくつかあります。

<モバイルデバイス>
多くの医療機関は、初期コストを抑えるために、患者のベッドサイドでスマートフォンやタブレットを使⽤するBring-Your-Own-Device戦略を使⽤して、バーチャルナーシングパイロットプログラムを開始します。

<モバイル遠隔医療カート> 医療システムはまた、バーチャルシッティングのようなプログラムをサポ
ートするために使⽤されるモバイル医療カートを、バーチャルナーシングを可能にするために再利⽤
することも多いです。これは、チームがすでに使い慣れたテクノロジーを使って、バーチャルケアサポートを必要な場所に拡張する柔軟性を提供します。

<マウント型遠隔医療エッジデバイス>
Caregility の顧客がパイロットから⼤規模なプログラム採⽤に移⾏するにつれて、多くの顧客が、各ベッドサイドに統合された仮想エンゲージメントハブを作成するために、病室のスマートテレビやインタラクティブ患者コンソールと統合する適応型遠隔医療デバイスに移⾏しています。デュアルカメラ付き遠隔医療エッジデバイスは、ケアチームが1 対1の患者対応から1 対多のバーチャル患者観察まで、複数のバーチャルワークフローをサポートすることを可能にし、また新たな臨床AI機能も提供します。
バーチャルナーシングの重要な側⾯は、⼀元化されたデバイスフリート管理です。組織全体のデバイスとワークフローをサポートできるバーチャルケアプラットフォームを特定することで、臨床体験を標準化し、⻑期的な拡張を容易にします。

バーチャルナーシングに不可⽋な技術統合とは?

　EHR 統合以外にも、バーチャルナーシングに共通する関連テクノロジーには次のようなものがあります。

• バーチャル看護師にリアルタイムの洞察を提供し、情報に基づいた意思決定を⾏う臨床
  意思決定⽀援（CDS: Clinic Decision Support）システム
• 遠隔患者モニタリング（RPM）を促進するデジタル聴診器などのコネクテッド医療機器
• IT の冗⻑性を最⼩化するための病室での対話型患者コンソール（IPC）
• ⽿の不⾃由な患者や英語が不⾃由な患者のために、健康の公平性と⾔語アクセスをサ
  ポートする通訳サービス
• 臨床への通知と対応を合理化するナースコールシステム
• 必要に応じてバーチャル看護師の役割を果たすための臨床サービスのアウトソーシング